製造業 DXは何から始める?現場データを改善につなげる手順

製造業DXで現場と経営をつなぐには|情報が届かない理由と整理の視点

現場では改善が進んでいるはずなのに、経営会議になると「実際のところ、現場はどうなっているのか」が今ひとつ見えてこない。そんな感覚を持つ中小製造業の経営者は少なくありません。

日報や工程実績、原価の状況は現場のどこかに存在しているものの、経営判断に使える形でまとまっていないことがあります。結果として、感覚や過去の経験を頼りに意思決定せざるを得ない場面が続いてしまいます。

この記事では、現場の情報が経営判断に届きにくくなる理由を整理したうえで、現場と経営をつなぐために意識しておきたい視点と、無理なく取り組める考え方を紹介します。

大きなシステムを一度に入れることだけが解決策ではありません。まずは、自社の情報がどこで止まっているのかを把握することから始められます。

特に、複数の工場や拠点を持つ企業では、現場ごとに情報の残し方が異なり、経営層が全体を横断して比較することが難しくなるケースもあります。どの拠点で何が起きているのかを一度に把握できる状態をつくることも、経営視点でDXを考える際の重要なテーマの一つです。

目次

現場の情報が経営会議まで届きにくくなる場面

製造業の現場では、日報、工程実績、材料の使用量、不良の発生状況など、多くの情報が日々生まれています。しかし、それらの情報は紙やExcel、あるいは担当者の記憶の中にとどまり、経営層まで届かないまま埋もれてしまうことがあります。

たとえば、ある工程で時間がかかっていることを現場は把握していても、それを数値として経営層に伝える手段がなければ、問題として認識されにくくなります。結果として、改善の優先順位づけが後手に回りやすくなります。

また、原価についても同様です。材料費だけを見ると問題がないように見えても、加工時間や手作業にかかる時間まで含めて把握できていなければ、実際の収益性を正しく判断することが難しくなります。

このように、現場では感じている課題が、経営判断の材料として届いていないという状態は、多くの中小製造業に共通しやすい課題だといえます。

新人教育の場面でも、似たような状況が見られます。ベテラン社員の経験や判断基準が言語化されないまま現場に残っていると、教育の質にばらつきが生まれやすくなります。しかし、この属人化そのものも、日々の現場では「いつものこと」として認識され、経営層に課題として共有されにくい傾向があります。

なぜ現場と経営の情報がつながりにくいのか

情報がつながりにくくなる背景には、いくつかの要因が重なっていることが多いといえます。

一つは、情報が紙やExcelなど、複数の手段に分散していることです。日報は紙、在庫はExcel、原価は担当者の頭の中というように、情報の置き場所がばらばらになっていると、全体像を把握するために多くの時間がかかってしまいます。

もう一つは、記録すること自体が目的化し、その後の活用まで想定されていないケースです。記録は残っていても、集計や分析に使える形になっていなければ、経営判断に活用することは難しくなります。

さらに、現場と経営の間で「何を、どこまで共有するか」の認識がそろっていないことも影響します。現場は日々の業務に追われ、経営層に伝える余裕がないまま、課題が現場の中だけで処理されてしまう場合もあります。

こうした要因は、どれか一つを解消すれば済むというものではなく、情報の整理と共有の仕組みを段階的に見直していく必要があります。

また、情報を集める仕組みを整えても、それを見る習慣が経営側になければ、結局は活用されないまま終わってしまいます。定期的に数値を確認する場を設けることも、情報をつなげるうえで欠かせない要素だといえます。

製造業DXの取り組み方について、まずは自社の状況を整理したいという方には、現状把握に使えるチェックシートも役立ちます。株式会社ニューピークでは、原価や作業マニュアル、人事評価それぞれの観点から現状を確認できる無料のチェックシートを配布しています。まずは自社のどこに情報のズレがあるのかを整理する材料として、株式会社ニューピークの資料ダウンロードページをご確認ください。

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経営者からよく聞かれる質問

製造業DXについて、経営者の方から寄せられることが多い質問を整理しました。

DXは大きな投資から始めないといけませんか

必ずしも、大規模なシステム投資から始める必要はありません。まずは日報や原価、作業手順など、特定の業務範囲から情報を整理し、見える化を進める進め方もあります。段階的に取り組むことで、現場の負担を抑えながら進めやすくなります。全体を一度に変えようとするのではなく、影響の大きい範囲から着手するという考え方も選択肢の一つです。

何から着手すればよいか分かりません

自社の中で、どの情報が最も把握しづらいと感じているかを振り返ることが出発点になります。原価が見えにくいのか、作業のばらつきが気になるのか、人事評価の基準があいまいなのか。課題が明確でない段階でも、専門家に相談しながら整理していく方法もあります。複数の課題が同時にある場合は、経営への影響が大きいものから優先順位をつけて考えることも一つの整理の仕方です。

現場の理解を得るのが難しそうです

新しい仕組みを導入する際、現場に負担感が生まれることは自然な反応です。記録の方法が変わるだけで、行っていること自体は大きく変わらない場合もあります。まずは小さな範囲で試し、効果を現場と共有しながら進めることで、理解を得やすくなります。導入初期には戸惑いがあっても、記録が積み重なるにつれて、確認や検索がしやすくなったと感じられる場面も出てきます。

現場と経営をつなぐために整理しておきたい視点

現場と経営の情報をつなげていくためには、いくつかの視点を意識しておくと進めやすくなります。

まず、情報を「どこで」「誰が」記録しているのかを洗い出すことです。紙、Excel、担当者の記憶など、情報が存在する場所を可視化するだけでも、どこに手をつけるべきかが見えてきます。

次に、記録した情報を、集計や比較がしやすい形に整えることです。数値として蓄積されていれば、工程ごとの比較や、過去との比較がしやすくなり、経営判断の材料として活用しやすくなります。

そして、現場と経営の間で、どの情報をどのくらいの頻度で共有するかを、あらかじめ決めておくことも重要です。仕組みを作っても、共有のタイミングが定まっていなければ、情報は再び埋もれてしまいます。

これらは、必ずしもシステム導入と同時に行う必要はありません。まずは自社の情報の流れを整理するところから始められます。

情報の流れが整理できてくると、経営会議で議論される内容も、感覚的な話から、数値をもとにした具体的な話へと変わっていきます。どの工程に課題があるのか、どこに改善余地があるのかが共有しやすくなることで、現場と経営が同じ情報をもとに判断できる状態に近づいていきます。

具体的な進め方について相談しながら整理したい場合は、オンラインでの個別相談も選択肢になります。株式会社ニューピークのオンライン相談では、現在の課題が明確になっていない段階でも、状況を伺いながら改善の方向性を一緒に整理しています。相談は無料で、その場で契約や導入を決める必要もありません。株式会社ニューピークのオンライン相談ページから、空いている日時を確認できます。

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現場の情報整理を支援するニューピークの取り組み

株式会社ニューピークは、長野県岡谷市に本社を置き、株式会社スワコー代表兼務として、日本・中国・香港・ベトナムにおける20年のERP運用実績を蓄積してきた会社です。もともと製造業を営む中で、ベテラン頼みの作業や、見えにくい原価、あいまいな評価基準といった課題に向き合ってきた経緯があり、中小企業診断士の観点も取り入れながら、現場で使えるERPシステムの開発に取り組んでいます。その経験から、AI作業マニュアル化、原価の見える化、人事評価の見える化という取り組みが生まれました。

AI作業マニュアルでは、現場の作業動画をもとに、AIが作業の流れや手順を整理し、作業手順書の作成を支援します。あわせて、作業時間や停止時間などを分析するAI作業分析では、標準作業者と新人作業者の違いを見える化し、改善のヒントを得ることができます。

原価の見える化と人事評価の見える化については、クラウドERP「NEWPEAK DI Cloud」の中で対応しています。実際の導入事例として、日本スワコー株式会社では、PDAを使って生産実績を記録し、材料費だけでなく作業時間まで含めた原価データを蓄積することで、赤字が続いていたプレス加工工程の改善につながりました。加工時間は1個あたり0.8秒から0.5秒へ、後工程の手作業は3.73秒から3秒へ短縮されています。

料金については、月額55,000円程度から利用できる機能単位のプランが用意されており、別途、導入費用として30万円程度(作業時間20時間程度)がかかります。自社に必要な機能から選んで始められる料金体系になっている点も、段階的に取り組みたい中小製造業にとって検討しやすいポイントだといえます。

まとめ

現場の情報が経営判断に届きにくいという課題は、多くの中小製造業に共通して起こりやすいものです。情報が複数の場所に分散していたり、記録が活用を想定した形になっていなかったりすることが、その背景にあります。

大きなシステム投資からではなく、自社の情報がどこで止まっているのかを把握することから、現場と経営をつなぐ取り組みは始められます。まずは、原価や作業手順、人事評価のどこに課題を感じているのかを整理し、無理のない範囲で一歩ずつ進めていくことが大切です。

現場と経営の間に情報の橋渡しができれば、日々の改善が経営判断へとつながりやすくなり、限られた人員や時間の中でも、優先順位を持って取り組みを進めやすくなります。

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