原価改善のきっかけは、現場の実績が“数字で見える”ことでした。

紙に書くか、データで残すか。

製造現場で日々記録される作業時間や工程実績。
紙で残していた情報をデータ化することで、原価管理や改善活動にどのような変化が生まれるのか。
日本スワコー株式会社 製造課の皆様に、PDA活用による原価管理の実感と、現場ならではのリアルな声を伺いました。

目次

原価を見るために、まず現場の実績をデータとして残す

現在、現場ではPDAを使って生産実績を入力しています。
入力された数量や作業時間は、原価管理のためのデータとして蓄積され、売価に対して実際の原価がどの程度かを確認するために活用されています。

特に重要なのは、材料費だけではなく、作業にかかった時間も含めて見ることができるという点です。

製品の材料費だけを見ると問題がないように見えても、実際には加工や手作業に時間がかかっていれば、人件費を含めた原価は上がっていきます。
現場での時間を数字として残すことで、「どの工程にどれだけ時間がかかっているのか」「どこに改善の余地があるのか」を確認しやすくなりました。

数量と時間を使って、原価管理のデータにまとめています。
本来の売価に対して、原価がどのくらいの実力かを見極めるためのデータを蓄積しています。


赤字が続いていた加工工程を、数字をきっかけに改善

実際に、原価データを確認する中で改善につながった事例もあります。

ある製品では、3トンのプレス機を使った加工工程において、難易度の高い加工が必要でした。
以前から現場として問題意識はありましたが、原価データを見る中で、毎回赤字になっていることが数字として確認され、「これは分析が必要だ」という判断につながりました。

そこで、技術チームが金型や工法を見直し、加工スピードの向上と、後工程で発生していた手作業の削減に取り組みました。

その結果、プレス加工時間は、1個あたり0.8秒から0.5秒へ短縮
さらに、後工程のハンドワークも、1個あたり3.73秒から3秒へ短縮されました。

一つひとつの改善額は小さく見えても、製造業では1万個、2万個という単位で生産することもあります。
そのため、1個あたりのわずかな改善が、積み重なることで大きな成果につながります。

金額だけ聞くと小さく感じるかもしれませんが、改善の内容は大きいです。
数がまとまってくると効いてきます。


材料の使い方も、原価データから見直す

改善は、作業時間だけではありません。
材料の使い方についても、原価データをきっかけに見直しが行われています。

たとえば、ある原反から取れる部品の数を増やす改善です。
原反そのものの価格は変わらなくても、同じ材料からより多くの部品を取れるようになれば、結果として製品1個あたりの材料コストを下げることができます。

これも、原価管理によって「まだ赤字である」という状況が見えたことから始まった改善でした。

数字として見えることで、どの程度改善する必要があるのか、実際にどれだけ改善できたのかを確認しやすくなります。
感覚ではなく、データをもとに改善の優先順位を考えられるようになる点は、現場にとっても大きな変化です。

数字になって現れてくるので、改善した結果も見えやすくなります。


最初は大変。でも、紙に書くことがPDA入力に変わっただけ

システムやPDAの導入と聞くと、現場では「入力が面倒になるのではないか」「新しいやり方を覚えるのが大変ではないか」という不安もあります。

実際、導入当初は大変さもありました。
新しい仕組みを覚える必要があり、入力忘れや「こういう時はどうすればいいのか」といった確認も発生します。

ただし、現場の方からは、時間が経つにつれて作業はスムーズになってきたという声もありました。

最初は大変でした。でも今となってみれば、書く作業が減った分、みんなも慣れてきたので、だいぶスムーズになってきました。

紙に記録するか、PDAで入力するか。
記録するという行為そのものは変わりません。
現場の感覚としては、これまで紙に書いていたものが、データ入力に置き換わったという捉え方に近いといいます。

紙に記録しようが、PDAで読み込もうが、そんなに変わらないとは言えると思います。ただ、最初の産みの苦しみはあります。

この「最初は大変」という率直な声は、同じようにシステム導入を検討する製造業にとって、非常に現実的なポイントです。
導入すればすぐにすべてが楽になるわけではありません。
しかし、記録がデータとして残ることで、その後の検索・確認・改善に活かしやすくなります。


紙を探さなくていい。過去の実績をすぐ確認できる

PDAで入力されたデータは、ERP上で確認することができます。
これにより、生産日報や工程実績、誰がいつ加工したのかといった情報を、後から検索しやすくなりました。

以前は、過去の記録を確認するために紙の生産指示票や日報を探す必要がありました。
しかし、データ化されていることで、必要な情報を短時間で確認できるようになっています。

調べるのも早くなったと思います。やっぱり情報を知りたい時に、紙を探さなくていいので。

製造現場では、過去の加工履歴やトラブルの確認が必要になる場面があります。
その時に、紙を探すところから始めるのではなく、データからすぐに確認できることは、現場にとっても管理側にとっても大きなメリットです。

また、現場からは今後の要望として、数字だけでなく、製品ごとの注意点やコメントもPDA上で入力できるようになると、さらに記録として活用しやすくなるのではないかという声もありました。

今はPDAに入力できるのは数字が中心です。コメントを入力できる機能があれば、もっと記録として有効に活用できると思います。


現場の状況を、上司や管理側が把握しやすくなる

PDA入力によるデータ化は、現場だけでなく、管理側にとってもメリットがあります。

紙に記録していた時は、現場でどの工程に時間がかかっているのか、どこに負荷が集中しているのかを、上司に伝えにくい場面もありました。
しかし、データとして見えるようになることで、上司や管理側が状況に気づきやすくなります。

今まで紙で書いていた時には、こういうところに時間がかかっていると上司に伝えづらかったけれど、データで見れるので、上司の方で気づいてもらえるというメリットはできました。

現場から見ると、入力作業そのものは紙からPDAに変わっただけかもしれません。
しかし、会社全体で見ると、現場の状況を把握しやすくなり、改善のきっかけを見つけやすくなります。

現場の記録が、単なる作業記録ではなく、改善のための情報として活用される。
そこに、データ化の大きな意味があります。


現場の声から見えたこと

今回のインタビューから見えてきたのは、システム導入によって現場の作業が劇的に変わるというよりも、これまで紙で残していた情報を、後から活用できるデータに変えることの価値です。

現場の方からは、率直に「最初は大変だった」「製造の観点では、書いているか入力しているかの違い」という声もありました。
一方で、データ化されたことで、

  • 原価の確認
  • 加工時間の改善
  • 材料の使い方の見直し
  • 過去履歴の検索
  • 管理側による状況把握

がしやすくなっています。

特に製造業では、1個あたりの改善額や数秒の短縮が、積み重なることで大きな効果につながります。
その改善の出発点になるのが、現場で日々入力される実績データです。

紙の記録を、改善に使えるデータへ。
日本スワコー株式会社様の現場の声からは、原価管理や現場改善において、データを蓄積し、見える化することの重要性が伝わってきます。


インタビュー協力

日本スワコー株式会社 製造課
PDAを活用した生産実績入力、原価管理、工程実績の確認について、現場での使用感や改善事例をお聞かせいただきました。

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